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花粉症が苦しいのに杉の木を伐採しない理由と今後の対策について

雑記

はじめに

毎年、早い人は年明けごろから感じ始めるスギをはじめとする花粉。

筆者も今は、2月くらいから5月半ばごろまで、花粉症に苦しんでいます。

花粉症の患者数は、いまや国民の10~20%にもなるようで、その経済損失額は、医療費や、花粉症による労働生産性の低下などで数千億円とも言われているそうです。

いわば、「いやな季節の風物詩」みたいな代名詞の代表である花粉症ですが、「なんで杉の木を伐採しないの?」という単純な疑問にどうしてもぶちあたってしまいます。

林野庁で公開されているデータを見ながら調べていきます。

スギ、ヒノキに関する現状

(データ、画像参照:林野庁ホームページ)

日本の国土は約3,779万ヘクタールあり、そのうちの7割、約2,505万ヘクタールを森林で占めているということです。

そして、2,505万ヘクタールの中で、スギは444万ヘクタール、ヒノキは260万ヘクタールです。

花粉症が苦しいのに杉の木を伐採しない理由

その疑問について少々古いですが取り上げた記事を見つけました。

花粉症の元凶「スギ」 「すべて伐採」なぜしないのか
花粉症のシーズンが続いている。今年は花粉の飛散量が2012年より多く、ピークを越えつつあるがまだ悩まされる日が続きそうだ。春のスギ、ヒノキの花粉飛散量は、10年前と比べて倍増したともいわれる。いまや「国民病」になりつつある花粉症で、抜本的な...

なぜ杉の木を伐採できないのか、まとめると以下のとおりでした。

一気に伐採すると、土砂崩れのような災害にもろくなるため、その対策のため。

②他の樹木より二酸化炭素吸収力が大きいため、地球温暖化に役立っている。

③杉の木は444万ヘクタールにもなり、花粉が少ない品種が開発されたのが1996年と割と最近で、入れ替えがなかなか進んでいない。

④昔は木材として杉が使用されていたが、だんだん需要が減り、高値で売れないので放置された結果、花粉が増大しているスギが少なくない。

なるほど、むやみに伐採しても逆に土砂崩れなどの災害につながるわけですね。

ただ、放置状態にあったり、伐採可能な範囲もおそらく多くあるはずですが、林業従事者の減少などで、「伐採する人や、無花粉スギへの入れ替えをできる人が少ない」「伐採しても使い道がない」といった課題もある、ということです。

そして、花粉症患者が多いことで成り立つビジネス、生計を立てる医療界への配慮、というのもあるのかもしれません。

しかし、こんなネガティブな金儲けよりも、花粉患者をなくして、暖かい春の気候に楽しいレジャーやショッピング、生産性の高い仕事によって価値を増大させた方がよっぽどポジティブになれると思います。

花粉発生源対策

林野庁は下記の「花粉発生源対策」を掲げています。

①少花粉スギ、無花粉スギへの植え替え

林野庁によれば、平成8年から平成31年3月末までに、少花粉スギ146品種、無花粉スギ6品種、少花粉ヒノキ品種56品種を開発した、とありました。

さて、植え替えは進んでいるのでしょうか。

まず、無花粉と少花粉を合わせたスギ苗木の生産量は、全体の5割ほどになってきたそうです。

令和14年までには「7割」にするのが目標とのことです。

ただ、実際の植え替えは?というと、全体の1%もなく、すべての植え替えには現状ペースだと100年以上かかるとも言われています。

人や技術を投入してもっと大規模に、本格的に行わないといつまでも現状は改善されない状況にあるようです。

②森林所有者・林業者の理解と協力

どんなにスギの花粉を出さない苗木を開発しても、「その苗木を植え、森林を整備してくださる方々」無くしては成り立ちません。

何千万もの国民が悩む花粉症を撲滅するためにも、林業への人材リソース投入、を促していきたいものです。

③飛散防止剤の早期実現化

スギやヒノキ花粉が遠く、広範囲にわたる理由は、まず花粉自体が小さいことによります。

その小さい花粉が、風に乗って上空に舞う過程で、さらに空気中の物質とぶつかったり、水分を含んで破裂することで、「さらに小さく」なるのです。

これによって「数百キロ」も飛ぶこととなるそうです。

よって、花粉症に対応する方法として「花粉を飛散しないようにする」のも一つありますが、今この研究が進んでいるとのことです。

ただ、スギ林は広範囲であり、ヘリコプターなどを使ったとしても、うまくきれいにコーティングできるか、そして、薬剤のコストをどうするか、私有林の場合に所有者への理解を得るための労力、などを思うとハードルは高いでしょう。

さいごに

このように、現状における花粉症対策において、単純にスギやヒノキをどんどん伐採できない理由が分かりました。

しかし、花粉症対策への予算投入なら、多くの人々の理解を得られやすいでしょうし、財政的にも、薬剤費、散布費、人件費がかかったとしても、保険料の抑制で相殺されうるという「プラスの効果を伴う施策」です。

是非、ここには国家予算をかけた大きなプロジェクトとして国には取り組んで欲しいものです。

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