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中小企業の経理の仕事内容は?メリットは?未経験OK?年収?など

ビジネス知識

私は中小企業で15年以上経理を担当している者です。

現場の立場から、「経理はこういう仕事をしていますよ」というのを発信できたらと思います。

  • 簿記資格を持っているので経理も選択肢にある
  • 単純に、経理ってどういうことやってるの?
  • 考えられる経理のメリット、デメリットは?
  • 経理で食べていける?

こういったことに興味のある方はご参照いただけたらと思います。

経理の概要

経理といっても、会社によって任される範囲は全然違うのではないかと思います。

中小企業であれば、いわゆる経理業務全般を任されるでしょうが、大企業であれば、ひとつひとつの業務のボリュームが大きいと思われるので、例えば請求だけ、入力だけ、など、一部のみを担うこともあるかもしれません。

私が経理として担当しているのは、下記の業務です。

  • 現金出納
  • 入出金伝票入力
  • 振替伝票入力
  • 月次決算
  • 支払調書
  • 償却資産
  • 固定資産管理(減価償却)
  • 年次決算

単純に経理という訳では無い範囲では、

  • 売掛金管理
  • 得意先信用調査

こういったことも行っていますが、上2つはここでは割愛します。

それから、

・給与

経理が行う会社も多いと思いますが、私の会社では別の者が行っています。

・請求業務

経理が行う会社も多いと思いますが、私の会社では、お客様への請求は営業部、仕入先からの請求は購買部が主に行っています。

私の方でもバックアップ的に、きちんと請求どおりに入金されたか、あるいは支払ったかをチェックするようにして、漏れの無いように心がけています。

さて、各業務について、漢字ばかりで早速萎えそうですが、私は、今の会社に経理未経験で入社し、しかも、入社した日が「前任者も辞める日」だったので、実質引継ぎゼロでのスタートでした。

よって、「次の日、会社で何して良いか分からない」という状況だったのですが、その後、一時的に経理経験者の派遣の方が来てくださり、何とかそこで経理業務のコツをうっすらつかんでなんとか今までやってこれました。

4か月くらいで、基本的な部分は理解できたため、きちんと指導してくれる人がいる状況であれば、そして真摯に課題に取り組む真面目な人なら、未経験でもそこまで難易度は高くないのかな、と思います。

それではひとつひとつ、業務の概要をお教えします。

現金出納

会社にはちょっとした買い物や、急な支出に備えて、少々のお金を事務所内に保管しています。

そのお金を預金口座から引き出して事務所に入れたり、また支出した時に、現金出納帳という帳簿に記録し、会計ソフトに入力したりします。

買い物は会社のお金で何でも買っていい、という訳では当然ありません。

会社の運営に関連するものでなければいけません。

例えば、オフィスの蛍光灯が切れて、新しい蛍光灯を300円で買った。

これは、会社運営の上では必要な経費なので、こういったものについて、帳簿に記録し、会計ソフトに

「消耗品費 蛍光灯 300円」などと入力します。

会計ソフトに入力したものは、決算資料にも反映される為、正確に入力しないといけません。

月に1回程度、会計ソフト上の現金残高と、実際の現金残高を見比べて「差異が無い」ことを確認します。

差異があれば、どこかの処理が間違えているということですので、その差異原因を追求して修正します。

入出金伝票入力

現金出納の他、会社にはさまざまな入金や出金があります。

お客様から、代金が振り込まれてきた、小切手で支払われた、約束手形やでんさい(電子記録債権)で支払われた、いろいろな方法でご入金がありますが、それらも全部会計ソフトに入力していきます。

逆に、こちらから取引先に対して、仕入の代金を支払ったり、経費の支払で振込をおこなったり、ということもありますので、この支払った情報についても、全部会計ソフトに入力していきます。

少なくない件数ではありますが、慣れれば大した作業ではありません。

むしろ、一心不乱に入力作業をしていると時間が過ぎるのも早いので、私は割と好きですね(笑)

大手企業や、最新の会計システムを導入している先であれば、銀行口座と会計ソフトが紐づいていたりして、自動的にある程度の入金処理が完結するところもあるかもしれません。

振替伝票入力

現金以外のやり取りを記録するためのものを振替伝票といいますが、入出金以外にも、例えば減価償却を行った時の伝票を作成し、それを会計ソフトに入力したりします。

経理未経験の人は別に今知っておかなくても大丈夫なのですが、ざっくり減価償却を説明すると、

減価償却とは、固定資産の購入費用を耐用年数分、分割して費用計上する会計処理です。

例えば1億円の自社ビルを買った時に「はい!経費1億円!」という訳には行かないんですね。

国の定めた会計ルールによって、「鉄筋のビルなら50年耐用年数あるので、50年かけて経費計上を分割してね」という感じで細かく定められています。

例えば、50年耐用年数がある時には、1億÷50年=200万、年間200万だけ経費にできます。

それを今後50年かけて、毎年200万ずつ経費計上していきます。
(※これはあくまで例えなので、実際のモノや取得時期により、耐用年数や経費計上額は異なる場合があります。)

その経費化のための伝票入力などを行っていきます。

月次決算①

月次決算ですが、私の会社では、月に1度ミニ決算を行います。

例えば8月に入ったら、7月度の成績の集計を行う、という訳です。

これは法的に絶対必須では無いので、月次決算を行っていない事業者も多いと思われます。

私の会社では月次決算を行っており、毎月、大まかな損益を出しています。

具体的には、売上がいくらあり、その売上の元となった仕入値(=売上原価といいます)がいくらだった、経費がいくらかかった、よって、利益はいくら残った、という結果を出します。

といっても、具体的に何をする、というのはあまり無くて、「日々の会計ソフトの入力結果を会計ソフトが決算書の形で出してくれるので、それをチェックする」ということですね。

預金残高が1,234,567円あるはずなのに、決算書では1,234,568円あることになっていた!、といった場合は、原因を追求して修正したりはします。

こうした「各残高のチェック」のほか、「消費税のチェック」というのも行います。

今は、消費税率が10%、軽減税率が8%となっていますが、実は、消費税が10%になる前に長期契約したリース料などは、いまだに「旧税率8%」で処理したりします。

よって、税率が3つほど混在している形となり、それぞれの税率できちんと処理されているか、も見ています。

108円で買って軽減税率8%が適用されるべきものなのに、会計ソフトでは税率10%として処理していた、というケースがある為、こうしたものが無いかをチェックするということです。

残高も消費税も問題無い、処理忘れも無い、となったら、決算書を会計ソフトから出して、経営陣に報告します。

月次決算②

最低限①が出来ればひとまず会社は回るのですが、慣れてきたら今度は、月次決算の結果を受けて、

  • 部署別に大まかな損益を出す
  • 自己資本比率などの経営指標に気を配り、推移をチェックする
  • キャッシュフロー計算書を作る
  • 資金繰り予定表を更新する

こういった事も行っています。

いわゆる「管理会計」と呼ばれるものです。

大企業ではおそらく当たり前に行っていることかと思いますが、中小企業では「必須ではない」ので、ひとまず詳細説明は割愛しますが、経理として入社し、決算も経験した後は、こういった管理会計にも積極的に追求すると、1歩進んだ経理になると思います。

納税業務

経理をしていると、さまざまな税金がかかっていることが分かります。

給与源泉所得税、法人税、消費税、固定資産税、自動車税・・・この辺りですね。

昔は、小切手を発行して、銀行窓口で手続きしていましたが、今はネットバンキングからすべて行えています。

消費税は、3月、6月、9月、12月に納付(会社によって異なる)していますが、初期の頃は、そのサイクルを誰からも教えてもらえず、一度だけ滞納してしまった事があります・・・。

それ以降は、さまざまな税金についてきっちりと納税スケジュールを把握して、納税漏れがないようにしています!

法定調書

毎年1月末に税務署に提出するものです。

1年間に支払った給与関連、退職金関連、一定額以上支払った税理士等への報酬、家賃などの情報
まとめて税務署へ申告します。

私の会社では、情報は経理でまとめ、申告用の書類については顧問税理士が作成して、経理で書類を税務署に提出する、という流れです。

全部税理士がやっている、という会社様も多いかもしれません。

ここでは、あまり細かく説明せず、「そういった仕事もしてるよ」程度で把握いただけたらと思います。

償却資産申告

これ、すべての会社がきちんと行っているととても思えないのですが、私の会社では毎年行っています。

一定額以上の高額なもの、かつ、建物類、土地、車などを除いたものを、そのモノが所在する自治体に申告し、評価額が一定以上あると償却資産税という名の固定資産税がかかる、というものです。

こちらも、情報は経理でまとめ、申告用の書類については顧問税理士が作成して、経理で書類を税務署に提出する、という流れです。

これも毎年1月末までに行います。

支払調書と償却資産は1月に入ってセットで処理するイメージです。

固定資産管理(減価償却)

上記の振替伝票のパートで簡単に触れましたが、固定資産となったものを管理し、いくら減価償却費を計上するのか、などを把握する資料を作成、管理していきます。

会計ソフトで把握している会社様もあると思いますが、私の会社ではエクセル管理になっています。

固定資産は、大まかに言えば、建物、車両、器具備品、無形固定資産(ホームページなど)などで、かつ、それなりに高額なものです。

中小企業では、30万円基準で、それ以上高額なものを「固定資産」とされるところも多いのではないでしょうか。

こちらも一見とっつきにくい業務ではありますが、先輩や顧問税理士がいれば、聞きながら(いなければ税務署に聞きながら)処理をすればOKですので、そこまで身構える必要もありません。

年次決算

こちらが経理業務の本丸とも言うべき、決算業務になります。

月次決算の延長でもありますが、いわば年間の成績をまとめるという作業ですね。

最終的には、会社の年度の最初の日から、年度の終わりの日までの売上、仕入、経費、利益を確定させ、

・法人税の確定申告書

・勘定科目内訳書

・消費税の確定申告書

これらの書類を作成して、そこで計算された「法人税」「消費税」を期日までに納付する、という流れです。

私の会社では、上記書類作成の為の元資料は経理で極力作成し、確定申告書自体を作成して申告するのは税理士、納税は経理、という役割分担です。

決算はめちゃくちゃ忙しい!」という会社様も多いとは思いますが、私は、仕事を効率化させるのが好きなので、事前に出来ることを事前に全部やってしまうことで、決算期間もほぼ残業無しで定時帰宅です。

それに、日々の会計ソフトへの入力が正しければ、それだけでもう8割方は決算処理が終わっていると言っても過言ではないと思います。

とはいえ、どうしても、他部署も巻き込みながら、事前に出来ないことも多いので、トータルでは1か月程度、決算確定には時間がかかるのですが、こちらも2~3回経験すれば慣れるものと思います。

会社によっても決算時に行う内容、ボリュームなどは違うと思いますので、大まかなイメージの把握をいただけたらと思います。

「いや、めっちゃハードル高そうやん!」と思ってしまう人もいるかもしれません。

でも、本当に、あまりにもいろいろなことに適当な人でない限り、数か月である程度慣れるレベルだと思います。

なぜなら、従業員が数人でもいる会社にとって経理は不可欠であり、きちんとある程度会社は回っている、という実績が「経理に適応できる人が多い」証拠を示しています。

経理の仕事

経理で実際「簿記資格」はどの程度有効なのか?

私は日商簿記2級を保有しています。

しかし、私の会社は製造業ではなく、工場も無いので、工業簿記は特に知識がなくても通用しています。

支店があるので「本支店会計」を使ったりもしますし、仕訳も多く行いますが、顧問税理士が居たり、試算表などは会計ソフトが作ってくれます。

よって、「そこまで簿記の知識は活用されない」というのが私の実感ですが、ただ、やはり最初の入り口として、簿記資格を持っている人と持っていない人では、持っている人が採用されやすいでしょうね。

経理を行うメリット

ここで経理を職業とすることのメリット、デメリットを思いつくまま記述してみたいと思います。

  • おしゃべり、という形でのコミュニケーションが苦手なので、何かと取引先と話したり、クレーム処理したり、交渉の場が多くないのは助かります。

    営業は絶対ムリですね(笑)

    よって、同じような感じの人にはメリットのある職業ではないかと思います。
  • 中小企業だと一人だったり、人数が少ないことが多いと思うので、同僚を気にせず「仕事が終わったらさっさと帰りやすい」というのも大きいです。

    これは、会社の雰囲気、考えにもよると思いますが、私の会社は「定時にさっさと帰るのをよしとされる風土」なので、そういう点でも私は合っていると思います。
  • つぶしが効きやすいと思います。

    会社員を長く続けていると、当然「もうこんな会社辞めてやる!」となることもあり、求人サイトをのぞいたりもしますが、経理は求人がたくさんあると思います。

    通常はある程度年齢が高いと転職しにくいものですが、経理は、私が見る限りは求人数が結構あるという印象です。
  • 年収は、メリット面を挙げれば「安定的である」ことが多いのではないでしょうか。会社によって、また、業種によって、「成果がすべて」みたいになってくると収入の変動が大きいと思いますが、経理のような事務ではそういったことはありません。
  • 会社の状況を一番に把握できる。

    会社が儲かっているのか儲かっていないかを一番に把握できるので、「この会社ヤベーわ」となったら、給料を止められる前に辞められます。

プチ知識として、長年担当していた経理が辞めてしまった会社は、危ない兆候にあるかもしれない、という見方もあるのです。

経理を行うデメリット

続いて、デメリット面です。

  • 経理は営業部などと違って、自分で売上を稼いで会社に分かりやすい形で貢献できない職種です。

    なので、収入は安定的ではあるにせよ、年収がなかなか伸びにくい面はあると思います。

    私は、今の会社ではかわいがられている実感があり、なんとか東京でも子供を持ちながら暮らしていけるだけのお給料はいただいているとは思いますが、それでも、「余裕がある」というには厳しいかな、という感じです。

    よって、コミュ力が高くて、自分でガツガツ稼いでいきたいタイプは止めた方が良いでしょう。
  • 1日8時間、パソコンをにらみ、入力が多い仕事ですので、目への負担、座り続けることの負担、入力による手への負担、単調な日々に対する精神的な負担があります。

    今はネットバンキングや宅配が発達し、「ちょっと銀行へ出かける」「オフィスの備品を買いにいく」という機会もかなり少なくなりましたので、「気晴らしタイム」が勤務中は少ないんですね。

    よって、休憩時間は極力外へ出て歩くようにしたり、空を見て目を休めたり、休日には筋トレやストレッチをしたり、さっさと仕事から帰って楽しいことをする、そういったケアをしないと、腰痛などの肉体面や、精神面で苦しむことになります。
  • 勤務中の会話も少ないです。

    ただ私の会社は「しゃべってはいけない」という感じではありませんので、おしゃべり好きな人はしゃべっても良いのですが、今の会社では、コロナもあってあまり会話が無いですね。

    そういう「沈黙に耐えられない人」も厳しいかもしれません。
  • やりがいも少ないかもしれませんね。

    お客様から感謝されたり、大きな売上を達成して同じ部の仲間と喜びを共有したり、など、給料以外で、目に見える形の「リターン」が少ないかもしれません。

以上、経理の良い面、悪い面それぞれありますが、私は15年以上経理を行ってきて、会社からはある程度評価をいただけ、心身を壊さずに続けて来られているということは、結果的には

「いろいろ不満は抱えながら、今の仕事が、まだ性に合っている」

ということだと思います。

経理に興味がある方、簿記の勉強が好きではなくても「苦痛でもなかった」という人や、孤独耐性も強めな人は、一度求人の状況をチェックしてみてはいかがでしょうか。

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