システムにお金をかけられる大企業ではない、中小零細の方々、インボイス制度(適格請求書等保存方式)、電子取引制度について、もう対応は定まったでしょうか。
私は中小企業で15年以上経理に携わっており、会計ソフトは、弥生や勘定奉行のようなメジャーなものではなく、一般的にはなじみの薄い外資系のものを、かれこれ20年以上(自分の入社前から)使っています。
よって、当然ながら会計システムは電子帳簿保存法対応ではありません。
同じような境遇で、インボイス制度、電子取引対応に頭を悩ませている関係者の方と問題を共有したいと思い、このブログを書いています。
まだ頭を悩ませているのでここで「解決策」はまだ出せていませんが、現状や今後に向けた検討案など、問題の共有によって何か前進出来たり、他の方のヒントになればと考えています。
現状の把握
私の会社の現状の会計システムと、先般の電子取引義務化、インボイス制度(適格請求書等保存方式)での初期の対応方法構想は以下の通りです。
- 現状の自社会計システムは電子帳簿保存法に対応していない。よって、帳票、書類の類はすべて紙ベースで保存。
- やや特殊な業界であり、現会計システムには当社に合ったカスタマイズが多く加えられている。
- インボイス制度は、既存の請求書に登録番号を付記し、税率を表示させるカスタマイズを加える予定だった。
- 電子取引保存義務化対応では、「記録簿方式」で対応するべくテスト運用を行っていた。
古いシステムであっても「対応しようと思えばできる」ので、最初は既存システムのまま法に対応する方向で進めていたのですが、電子取引データ保存義務対応の為のテスト期間で、やや心を折られました・・・。
なるべく、他の社員への負担が増えないように、電子取引情報を私の部署に集約して記録簿に記録していく、という方法を採っていましたが、やはりなかなかの時間がかかったのです。
毎日、30分以上は、保存作業の為に時間を取られました。
それを「大したことない」と捉えることもできますが、ひたすら手作業で記録簿につけていく
作業は、それを行った所で、当社は1円の売上にもならなければ、効率化にもつながらない、
何年に1度あるかないかの税務調査のためだけの作業だと思うと、どんよりとした気持ちになりました・・・。
BtoBプラットフォーム請求書の検討
一部取引先に導入されているBtoBプラットフォーム請求書の検討を行っています。
これを利用することで、請求書のみならず、見積書、納品書といったものを、こちらのクラウドサービスを通じてやり取りでき、電子取引対応が結構簡素化されそうです。
また、インボイス制度にも対応できるとすれば一石二鳥です。
しかし、導入コスト、ランニングコストが安くない事と、電子取引のすべてをカバーしてくれるわけではないので、「半端な効率化」に感じています。
半端というのは、請求関連は良いとして、領収書や契約書などの電子取引対応は無い為、そこは手作業が残ってしまうということです。
高いお金を出すのであれば、もう少し何とかならないか・・・という所です。
最新の 会計システムへの移行検討
私としては、もういっそ最新の会計システムへ移行したい所が本音です。
しかし、冒頭に記載した通り、私の会社が少々特殊な業界であることで、会計システムにカスタマイズがたくさん施されており、最近もカスタマイズしたばかりで、これもなかなかの支出になったので、「今更簡単に移行できない」という事情があります。
また、私は新しいシステムなどに割とすぐなじめるのですが、会社にはコンピュータに強くない人も
そこそこおり、新しいシステムに移行したことで、操作になじめずに逆に生産性が落ちてしまって「昔は良かった」状態になることも考えられます。
ペポル(peppol)はどうなった?!
電子インボイス推進協議会「EIPA(エイパ)」は、国内における電子インボイスの標準仕様を国際規格「Peppol(ペポル)」に準拠するとしました。
日経新聞などでもたまに話題が上り、中小企業でも格安でシステムを利用できるようにすることで電子インボイスを普及させる、みたいな話がありましたが、これ・・・どうなったのでしょうか。
もし本当に格安でインボイス制度を促進させるクラウドサービスなどが出てくれば、当然検討したいと思いますが、今のところ、日本版の標準仕様が出来た、程度の話で具体的なサービス情報については検索レベルでは出て来ていません。
まとめ
電子取引の保存義務化においては、当初2022年1月からの施行予定が、直前になって「2年延期」
になりました。
しかし、今後2年で大きく環境が変わる気配は今の所、私の会社にはありません。
最新会計システム移行は社内的なハードルが高そうなので、BtoBプラットフォーム請求書のようなクラウドサービス利用を、現時点では第一候補に考えていますが、先述のとおり、安くはない追加支出がかかってきます。
売上がコロナで落ちている中、「やっぱり出来る限り固定費をこれ以上増やさないで何とかやっていこう」となった場合は、初期構想のまま、進んでいくのかなと言う感じです。
中小企業はただでさえ給料が上がりにくい中、国のルール変更の都合で莫大なコストをかけさせるのを本当に止めてほしいものです。
そういう制度に移行するなら、金銭的負担を増やさないよう、あらかじめ格安対応システムが完成した後で、「〇年〇月から移行します」という順番で案内をして欲しいものです。
ひとまず以上ですが、引き続き、情報収集を続けていきたいと思います。
【こちらの記事もどうぞ】
【紙保存廃止】電子取引データ保存義務化における中小企業の対応方法
特に中小企業にとってひどいインボイス制度をこう変えて欲しい!
与信管理とは何かわかりやすく解説!~危険な取引先会社を見極める1
コメント