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電子取引の「義務化」について、「努力義務」でお願いしたい(適格請求書等保存方式も)

ビジネス知識

2022年1月1日より電子取引データ保存「義務化」→延期

【速報】日経新聞にて、2年猶予との記事が出ました!!

しかし、まだ詳細が不明であるため以下記載しますが、また詳細が判明次第更新していきます。

さて、電子取引データ「義務化」の概要をおさらいすると、電子的にやり取りを行う、

  • 請求書
  • 注文書
  • 見積書
  • 領収書
  • 契約書
  • 納品書

などといったデータに対して、「書面で出力することによる保存」が認められなくなりデータでの保管が必要とのことです。

電子取引データ保存のルールがとても煩雑!

単にデータを適当にHDD内などに保管すれば良いのではなく、「ルールに基づいた保管」が求められ、

・データに「タイムスタンプ」を付与し、または付与されたものを保管する。

・データの訂正削除履歴が残るか、訂正削除が出来ない「システム」で保管する。

訂正削除防止に関する事務処理規定を策定、運用しながら保管する。

上記のいずれかによって保管しなければなりません。
(電子取引一問一答 問22など)

「タイムスタンプ」や「システム」は無料で用意することが出来ない為、対応のソフトやシステムを使っておらず、データの保存の為に追加でお金をかけられない企業は必然的に「事務処理規定」を作らなければなりません。

この事務処理規定については、国税庁より「ひな形」を用意していただいていますが、会社は、様々な部署が様々なデータをやり取りしており、事務処理の責任者を誰に据えるのか、は単純には決めきれませんので、まず、ここで頭を悩ませられます。

そして何より面倒なのは、データの保管方法です。

その一つ目の方法としては「保存するデータひとつひとつに規則的なファイル名を付与しなければならない」ことです。

例えば、株式会社日本から、2021年8月31日に10万円の電子請求書を受け取った際には、その請求書名を「20210831_日本_100000」などと、ひとつひとつ名前を付けなければならないとされています。(電子取引一問一答 問12など)

そしてもう一つは、「エクセルで索引簿を作成する」です。

いずれにせよデータ一つ一つについて、ファイル名の変更処理か、索引簿に記入していく処理をしなければならない、というのは、会社にとってかなり大きな負担になります。

弊社内でヒアリングをしてみると、実に月に1,000個以上の、こまごまとした見積、請求、領収などの各データがあることが分かり、これらについて、もし「ファイル名変更」の方法を採用するなら、

「え~と、10月20日に、A商事から30,000円の請求書を送ったから、20211020_A商事_30000にファイル名変えて、サーバー内 → 営業1部フォルダ内 → 請求書フォルダ内 →A商事フォルダに移動、・・・と」

などと、何とも煩雑なプロセスを経て保管しなければならないのです。

ただ弊社は、記録簿方式でテスト運用を行っていました。

それについては別記事にしていますので宜しければご参照ください。

しかし、感想としては・・・やっぱり手間がかかりすぎる!!!

コロナによって売上が下がっており、今は全力で、どう売上を確保していくのか、そして、売上部門をどうバックアップしていくのか、に最もリソースを割かなければならない時に、売上に全く繋がらない「電子取引データの保存プロセス」に、全社的にリソースを大きく割かれるのはいかがなものかと思います。

関係者に聞けば「せっかくFAXをペーパーレス対応にしたのに、電子取引の保管が面倒で時間がかかるので、紙FAXに戻した」という、本末転倒な事態になっているケースもあるそうです。

紙保管は、デジタル保管よりもデータの検索性などが著しく低いにも関わらず、なぜ紙保管が簡単で、デジタル保管に細かくルールが定められてしまうのでしょう。はなはだ疑問です。

インボイス制度

電子取引に関するtwitter上の反応

twitter上でも同様の反応が多く見られますので、少し紹介します。

そして、対応できていない企業は、「青色申告取消になりうる」そうですが(電子取引一問一答 問42)、このコロナ禍で、そして、あまりIT化も進んでいない企業などもあることを思うと、とてもすべての企業が対応できるとは思えない施策です。

電子取引保存義務化についての提言

ペーパーレス化、テレワーク、効率化の推進は大いに賛成できますが、今のこの状況下においての電子取引データ保存の「義務化」は、お金がかけられない中小企業にとって、1個1個のファイル名を変更して、決められた場所にきちんと保管して・・と、結果的に従来より処理プロセスが増えて生産性が落ちてしまうことに大きく繋がるものと考えますので、「努力義務」ということでお願いしたいものです。

まだよく把握していない方は一問一答をご覧ください。

参考:電子取引一問一答(令和3年7月版)

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf

そして、おそらく、税務署に問い合わせが殺到しているのでしょう。

「お問い合わせの多いご質問」が11月にリリースされていることを、最近知りました。

会計ソフトの「弥生」社長も「いつの間にか全事業者対象になっていて、さすがに間に合わない」と強い懸念を示されていました。全くの同感です。

しかし、この状況で2年待ってもあまり変わらないのでは、というのが正直な感想です。

国税庁の方で、電子取引保存ソフト、のようなものを作ってもらえないでしょうか。

そこにファイルを移動するだけで、国税庁の求める形に保管できるような・・と思う訳です。

それから、2023年10月施行の「適格請求書等保存方式」についても、システム変更にお金をかけられない企業にとっては大変煩雑な仕組みです。

意図は分かるのですが、せめてお金をかけなくても対応できて、手間が増えないように設計して欲しいのです。

日本はただでさえ、GDPこそ世界3位ですが、生産性が低いと言われています。

電子取引にせよ、適格請求書等保存方式にせよ、手間ばかりで生産性をむしろ下げる取組で、企業にとっては1円の利益にもつながらないばかりか、対応時間コストが増えてしまっています。

ほんとにもう・・・お願いいたします。

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