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紙の約束手形、2026年を目途に廃止、についてわかりやすく解説!【経済産業省】

ビジネス知識

紙の約束手形がとうとう廃止!

とうとう紙の「約束手形」を、2026年を目途に廃止するように経済産業省から方針が出されました。

紙の約束手形を多く扱っていた経理の現場は歓喜にわいていることでしょう。

約束手形とは何か、要は「いついつに〇〇万円を支払います」と書かれてある紙で、これを銀行に持ち込んで手続きすることで、手形に書かれてある「支払期日」に、自社口座に振り込んでもらえるようなシステムなのですが、「2か月~6か月先」など「かなり先」の入金となるのが一般的です。

外国ではこうしたシステムは無いと聞きます。

私も現場で触れるまでは「人生ゲーム」でしか存在を知らず、人生ゲームでもほぼ使っていなかったほど「一般的にはなじみがない」ものではありますが、現場で触れると、「経済が滞留する大きな要因の一つ」だと認識するようになり、個人的には「害が大きいもの」だととらえていました。

売ったものの入金が6か月先になるなんて、どう考えてもおかしいですよね。

トレンドとして、紙の手形はずっと減少傾向にはありました。

(引用:東京商工リサーチ)

手形(約束手形)は、入金がかなり先になるだけでなく、事務面、手間面の時間コスト、印紙代、領収書郵送代などの実費コストがかかります。

また、そこまで手間もコストもかかるものであるにも関わらず、「不渡り(ふわたり、後述)による倒産」の危険度は、手形を使わない企業よりもぐっと上がります。

手形を使う企業全てが今現在危険、というわけでなく、使わない企業よりも倒産危険度が高くなる、という意味です。

約束手形の危険性について

手形は、自分の取引銀行で手形帳を作ってもらい、取引先に対し「期日に○○円お金を払います」と「約束」するもので、期日に口座から引き落とされます。

前述のとおり、支払期日は大体2ヶ月後~6ヶ月後など先になり、まだまだ建設業など一部業種においては根強く使われています。

この手形の期日に自分の口座に手形分のお金が用意出来ない場合、「不渡(ふわたり)」となります。半年以内にもう一度不渡を出すと、「銀行取引停止」となり、倒産します。

支払を先延ばしにすることは、「最初は」資金繰りの観点では支出が抑えられて有利ですが、それで債務が消える訳ではありませんし、それが「毎月」になってくると、数ヶ月後にはもう、従来手形の無い企業と同様、毎月払うことが当たり前になり、先延ばしの恩恵はほぼ感じられず、不渡の危険に経理、及び経営陣はいつも緊張を強いられる事になるでしょう。

紙の手形に代わる電子記録債権(でんさい)

紙の手形に代わり、電子記録債権(でんさい)に移行する会社が増えています。

要は、電子的な手形のようなものです。

徐々に電子記録債権の発生件数も増えているようです。

(引用:でんさいネット)

手形から電子記録債権(でんさい)になることで、

・発行、郵送の手間削減(ネット上で完結)

・金額に応じ、手形に貼付していた収入印紙が不要

・受け取る側は、領収書作成不要

・領収書に貼付する収入印紙が不要

・手形の保管コストが不要

・銀行手数料が紙手形よりは割安

など、紙の手形よりは発行する側、受け取る側ともにメリットは多いものです。

しかし、でんさいなどでは「依然として不渡りの危険性が残る」ことには注意が必要です。

提言:全部振込か、せめて短サイトのでんさいに

そもそも、個人的には上場している大企業はもちろん、売上が「億」以上あるような会社では即刻手形やでんさいの類を廃止にすべきだと考えています。

自社よりもはるかに規模の小さな会社に対し、平気で何か月も支払を先延ばしにする。

手形は約束期日よりも前に資金化(=割引といいます)することもできますが、銀行に対し、高い手数料を負担しなければなりません。

これでは中小企業が苦しいはずです。

上場企業は手形や電子記録債権禁止で、翌月中には支払う。

電子記録債権を使う会社も政府が求めるサイト60日以内にする。

これだけで結構資金繰りがよくなる会社も多いのではないかと思います。

また、現在の経済の停滞は要は「お金の停滞」です。払うべきものをさっさと払えばお金が回ります。

手形を使うことで不渡りの恐怖におびえる必要がありますが、手形を使わなければ不渡りにはなりませんし、最悪、取引先に支払を待ってもらえる余地が出来ます。(その後の風評低下はあるにせよ)

手形や電子記録債権をもらう側も、得意先が倒産すると、ほぼ紙切れ・データになってしまいますし、倒産後、わずかな配当金をもらったり、税務上、手形額面分を損失として認識する為に、面倒な書類を記載しなければならなかったり、損失確定までの時間がかかったりしますので、早く手形や電子記録債権自体も、無くす方向にして欲しいものです。

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